カテゴリ | 写真 |
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住所 |
札幌市中央区南7条西2丁目2 |
公式HP | 鴨々堂 |
備考 | 真新しいビル群と、程よく流行りが取り入れられていく風景に ずっと、表面を滑っていくような心もとなさを感じていた。 片隅に偏って群がる黒い山に、息をすることも忘れて ただわかっていたことはとにかく「今」であるという事。 札幌は、私にとって顔の見えない街だった。 9年前に初めて石狩を訪れ、それからただひたすらその場所に惹かれ 足を運ぶ事になる。 毎年道路の雪が解けると車を走らせ、雪山をよじ登って会いに行く。それが私の春だった。 まるで顔面に張り巡らされた血管のように脈打ち 時間と共に形を変えながら川は大地を走り続け 雪で顔が埋もれる夜にも閉ざす事なく 海はその流れを受け止め続けていた。 私の住む街の輪郭は川と峠で形作られている。 時間と空間を力強く結びながら生きるその悍ましさ。 この街の輪郭は生きている。 剥がれ落ちた自分自身も確かにこの一部に引き結ばれていると感じた瞬間 私はここに存在する事を初めて意識する。 それはまるで今、私が初めて生まれ落ちたような感覚だった。 |